「シュトックハウゼン!」
その頃柴田純はコンビニエンスストアで立ち読みを続けていた。読んでいるのは『Cream』。彼が高校生の頃から愛読している、ポップコーン感覚のソフト・エロ本だ。今月の表紙は原朋実、彼女は偶然にも彼のフェイヴァリットだった。
午前も三時をまわる頃、柴田は興奮でむずがゆくなっている股間をぶら下げ、コンビニを後にした。もちろん原朋実を脇に抱えて。
「今夜は長ぇぞ!」
彼は駆け足になった。おちんちんが太腿に擦られ、全速力のうちに射精できたなら、どんなに爽快だろうか。彼はそれと原朋実のことだけを考え、闇夜に消えていった。
死体が発見されたのは、午前六時。太極拳のことしか頭にない老人が第一発見者だった。死体には背中に「天国」と切りつけられてあった。
柴田純はまだ原朋実のページに夢中だった。もう午前十時、うんざりだ。彼は瞬き一つせず、原朋実の未成熟な肉体に視線を這わせていた。
「‥‥うっ」
彼はようやく瞬きを始めた。
賢明な読者なら、もうおわかりだろう。そう、彼は彼の脳内で原朋実を陵辱した。彼女に全人類が考えられうる限りの変態行為を要求した。「僕にうんちを下さい」とさえ言った。 最低、クズ、ド畜生。どの言葉も、彼には快楽の一種にしかなり得なかった。
「シュトックハウゼン!」